2022年07月16日暑中コンクリート|建築工事⑥
【養生】
a.打込み後のコンクリートは、
直射日光によるコンクリートの急激な温度上昇を防止し、湿潤に保つ。
b.湿潤養生方法は8.2aに示すものから選定し、
工事監理者の承認を受ける。
材齢初期の期間中に十分な養生が行われないと、
(1)若材齢のコンクリートが、日光の直射や急激な乾燥にさらされると、
コンクリートの表面にプラスチック収縮ひび割れが発生したり、表層部がポーラス(多孔質)になるなどの
耐久性の低下をもたらす危険性がある。
(2)養生期間中の温度が過度に高いと
長期材齢における強度増進が停滞したり、鈍化する場合がある。
(3)セメントの水和反応に必要な水が不足し、コンクリートの強度発現に支障をきたす場合がある。
というような問題から、所要の強度・耐久性が得られなくなるおそれがあります。
暑中コンクリートでは、他の季節よりも特に気温・日射の影響によるコンクリートの乾燥に注意を払い、
湿潤に保つことが重要です。養生方法は標準に示されているものから選定し、工事監理者の承認を得ることが必要になります。
c.湿潤養生の開始時期は、コンクリート上面ではブリーディング水が消失した時点、せき板に接する面では脱型直後とする。
養生開始時期に関しては、コンクリート上面ではブリーディング水が消失した時期以降に
コンクリートが乾燥の影響を受けるので、この時期から開始するものとされています。
また、せき板に接している面は、封かん養生に相当する程度の養生条件が保たれているものと
推定されるので、養生は脱型直後から開始すればよいと規定されています。
d.普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの湿潤養生期間は5日間以上とする。
その他のセメントを用いた場合の湿潤養生期間は、8.2aによる。
暑中コンクリートの適用期間においては、上記b.,c.で規定した養生方法と養生開始時期を守る限り、
普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートでは、4週間水中養生を行ったコンクリートと同等の
強度を得ることができるとされています。
なお、2009年版JASS5では「湿潤養生を打ち切ることができる
コンクリートの圧縮強度は8.2bによること」という記述があったが、
暑中コンクリート工事では、打込みの翌日には管理用供試体強度が10N/mm2を超えることが多いが、
極早期に養生を終了させると表層部の組織がポーラスとなり、耐久性が損なわれるおそれがあるため
2018年版では削除されています。
e.養生終了後は、コンクリートが急激に乾燥しないような措置を講じる。
湿潤養生終了後において、直射日光や風などによって急激にコンクリートを乾燥させると、
ひび割れが発生しやすくなります。
湿潤養生後は、養生シートなどをできる限り長く存置させて、急激な乾燥を防止する必要があります。